立ち上げたはいいが利用者が伸びない
新規事業として立ち上げたサイクルシェア事業で、関東近郊2箇所のエリアでポートを設置したが、なかなか利用が広がらないまま一年ほどが経過し苦戦していたA社。
行き詰った状況を打開したいとのことで、当社にご依頼をいただく。
ハッチング~仮説検証の繰り返し~で突破口を発見
事業成功の『最初の仮説』は、主要駅や駅から遠いマンション・団地にサイクルポートを設置すれば通勤需要を獲得し会員数はおのずと増えていくだろうと考え、認知度向上施策として TVやWEBプロモーションを行っていたが、なかなか会員数が伸びない時期が続いていた。 WEBプロモーションではキーワードや露出媒体を変えながら試行錯誤するも、あまり会員登録数は増えなかった。
会員登録が増えない一因として、使いたいときに自転車がない「空車」が需要を取りこぼしているからだと考え、返却される自転車をピックアップし空車のポートにトラックで運ぶ「再配置」を毎日朝・夕の通勤時間帯に実施していたりしたが、それでもあまり会員登録数は増えなかった。 ある時、サイクルポートの故障があり現場を見に行ったら、サイクルポート前で通行人に
「これ何?レンタルサイクル?」
と声をかけられ、パンフレットのサイクルポート一覧MAPを見せながら、 「シェアサイクルです。この20か所のサイクルポートならどこでも乗り捨てできます。」 とご案内した。
この方は普段よくこのサイクルポート前を通行していたが、レンタルサイクルと思い利用したことがなかったようで、サイクルポート一覧MAPを見ながら、 「ここに乗り捨てできるなら便利だわ。え?150円?安くていいね。」
と、その場で会員登録をしてくれた。
こういう人を会員登録獲得すべきだと気付いたのが『ブレイクスルーポイント』。
まさに、瓢箪から駒だった。
地道なハッチング≒事業検証の積み上げが成功のミソ
WEBプロモーションや再配置を行うことよりも、サイクルポート前でたくさんの乗り捨てできるサイクルポートがあることを訴求するチラシを配ったり、声をかけたりするのが地道だが一番効率がいいことに気付き、時間帯や場所を変えながら自ら行ったのが『ハッチングのポイント』。
ただ、サイクルポート数が増えない限りは効果も限定的なため、停滞していたサイクルポート数を増やす取り組みを再開したことと、隣接するエリアでの導入が次々決まり相互に乗り捨てできるようになったことで、会員登録も右肩上がりに増加していった。
約10ヶ月という立ち上げ支援期間のなかで、事業を軌道にのせる画期的なきっかけを作り、規模拡大への道を切り開くことができたのは、地味、でも確実な事業検証の積み上げを土台としているからだ。
この新規事業は、支援のご相談をいただいた当初、1エリアで利用回数が年間数千回程だったが、エリア数は30→50へ、利用回数は利用回数1000万回突破する規模にまで成長を遂げた。
現在は法人利用の増加に伴い、東京エリアでのサイクルシェアで圧倒的な地位、そして第4の公共交通のポジションを築きつつある。
※この記事は秘密保持のため一部フィクションが含まれています
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